20秒でわかる顎関節症
セルフ診断

朝、起きた時に顎が
重だるい

起床時の顎のだるさ・
こわばり・噛みにくさに
ついて

起床時の顎のだるさ・こわばり・噛みにくさについて
  • 「朝起きると顎が重だるい」
  • 「目が覚めた時から、こめかみや頬が張っている」
  • 「朝は口が開けにくく、しばらくすると少し楽になる」
  • 「寝起きから咬み合わせがしっくりしない」

このような症状を訴える患者様は少なくありません。

特に顎関節症や咬み合わせの違和感を抱えている方では、朝、起きた時の顎の重だるさはよくみられる症状のひとつです。

日本顎関節学会では、顎関節症は顎関節や筋肉の疼痛、顎関節雑音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする包括的診断名と整理されており、病因は単一ではなく、環境因子・行動因子・宿主因子・時間的因子が積み重なって発症するとされています。

睡眠時ブラキシズムや日中の姿勢、長時間のデスクワークなども関連因子として挙げられています。

朝の重だるさ、疲れで片づけてよいのか

まず大切なことをお伝えすると、朝の顎の重だるさ=必ず重症ではありません。一方で、これを単なる「寝起きの癖」「疲れ」と片づけてよいとも限りません。

実際には、睡眠中の食いしばりや歯ぎしり、筋肉の過緊張、顎関節への持続的負荷、関節円板障害、咬み合わせの不安定さなどが背景にあることがあります。つまり、朝の重だるさは、顎まわりに夜間の負荷がかかっていたサインである可能性があります。

顎関節症が多因子性であり、睡眠時ブラキシズムなどが関連因子として扱われることは、学会指針で整理されています。

なぜ朝、起きた時に
顎が重だるくなるのか

なぜ朝、起きた時に顎が重だるくなるのか

朝の顎の重だるさでまず考えるのは、睡眠中の筋肉への負担です。

顎関節や顎まわりの筋肉は、本来、睡眠中に休んでいてほしい組織です。ところが、睡眠中に歯ぎしりや食いしばりが起こると、咬筋や側頭筋などの筋肉が十分に休めません。その結果、朝起きた時に、

  • 顎が重い
  • こめかみが張る
  • 頬が疲れている
  • 奥歯でずっと噛んでいた感じがある
  • 口が開けにくい

といった症状として現れます。

特に、朝がいちばんつらく、日中に少し楽になるという経過は、夜間の負荷を疑う一つの手がかりです。

夜間ブラキシズムが関連因子として重視されることは確立していますが、個々の患者様の朝の重だるさを単独で夜間ブラキシズムと断定するには診察が必要です。

弱いけれど持続する負荷

もう一つ大切なのは、弱いけれど持続する負荷です。

顎関節症の診療では、強い歯ぎしりだけでなく、上下の歯を接触させ続ける癖、いわゆるTCH(歯列接触癖)も問題になります。
これは日中の話として知られていますが、夜間も含めて「筋肉が十分に休めていない」状態が続くと、朝のだるさにつながりやすくなります。

学会資料でも、こうした弱いが持続する負荷は筋肉の回復に影響するとされています。

朝の重だるさと
関係しやすい病態

朝の重だるさと関係しやすい病態

朝、起きた時に顎が重だるい症状は、主に次のような病態と関係することがあります。

筋肉痛障害

もっとも関係しやすいのがこのタイプです。

咬筋、側頭筋、外側翼突筋などの筋肉が過緊張を起こし、寝ている間の負荷の影響を受けると、朝のだるさ、張り、疲労感として出やすくなります。

「朝はつらいが、動かしているうちに少し楽になる」という方では、まずここを疑います。顎関節症の病態分類として筋肉痛障害は明確に位置づけられています。

顎関節痛障害

顎関節そのものに痛みや炎症がある場合も、朝のこわばりや重だるさとして感じることがあります。

特に、寝起きに耳の前が重い、動かし始めに痛い、噛みしめると関節部がつらいという方では、この病態も考えます。顎関節痛障害も主要病態として整理されています。

顎関節円板障害

関節円板の位置異常や運動異常がある場合、朝起きた時に「引っかかる感じ」「口が開けにくい感じ」とともに重だるさが出ることがあります。

以前から顎が鳴っていた方や、朝だけ開けにくい方では、この可能性もあります。円板障害は顎関節症の主要病態の一つで、開口障害や関節音と関連します。

どんな症状があると
受診したほうがよいか

どんな症状があると受診したほうがよいか

朝の重だるさが一時的で、すぐ消えて、他の症状がなければ、経過観察でよいこともあります。

ただし、次のような場合は一度きちんと評価したほうがよいです。

  • 朝の顎の重だるさが続いている
  • 朝だけでなく日中も顎が疲れる
  • 口が開きにくい
  • 顎が鳴る
  • 噛むと痛い
  • こめかみや頬が痛い
  • 頭痛、首こり、肩こりを伴う
  • 起床時に咬み合わせがずれている感じがする
  • 被せものや矯正治療の後から強くなった

特に、朝の重だるさ+開口障害、朝の重だるさ+痛み、朝の重だるさ+咬み合わせの違和感がある場合は、筋肉だけでなく、関節や円板、咬合の問題まで含めて診たほうが安全です。

症候の組み合わせで病態を考えるのは、学会の診断基準と整合的です。

当院で大切にしている考え方

当院で大切にしている考え方

当院では、「朝、起きた時に顎が重だるい」という訴えを、単なる疲れとしては扱いません。

なぜなら、この症状の背景に、筋肉痛障害、顎関節痛障害、顎関節円板障害、咬み合わせの不安定さ、夜間ブラキシズムなどが隠れていることがあるからです。

診療で確認すること

  • いつから症状があるか
  • 朝だけか、日中も続くか
  • 痛みを伴うか
  • 顎関節音はあるか
  • 口はどれくらい開くか
  • 筋肉や顎関節に圧痛があるか
  • 日中の食いしばりやTCHがあるか
  • 被せものや矯正治療との関連があるか

必要に応じて、生活指導、セルフケア、運動療法、スプリント(マウスピース):スタビリゼーション口腔内装置などを含めて、現在の病態に合った初期治療を考えます。

保存的・可逆的な初期治療を基本とすることは学会指針と整合します。

朝、起きた時に顎が
重だるい症状でお悩みの方へ

朝、起きた時に顎が重だるい症状でお悩みの方へ

朝の顎の重だるさは、珍しい症状ではありません。

しかし、それが続いている場合には、睡眠中の食いしばりや歯ぎしり、筋肉の過緊張、顎関節への負担、咬み合わせの不安定さなどを疑うきっかけになります。

「朝だけだから大丈夫」と決めつけるのも、「重い病気かもしれない」と極端に不安になるのも、どちらも少し早いです。大切なのは、その重だるさがどの病態に由来しているのかを整理することです。

朝起きた時に顎が重い、だるい、こわばる、開けにくい、咬み合わせがしっくりこないという方は、どうぞご相談ください。